MAKE A LAUGH!

吉岡さん

僕はジャズにまったく興味が無く「BEATLES」に狂っていた中学時代、勝手に思い描いていたジャズのイメージがある。 どことなく暗い夜、苦いコーヒー、濃い闇の中から響いてくる様々な楽器の音がちょっと怖い、おどろおどろしい不協和音。 やがて高校に入り「スイングジャズ」にのめりこむようになってわかったことがある。僕のイメージしていたJAZZは、 「ハードバップ」と呼ばれる部類に入るらしいということ。巷に流れる膨大なJAZZの中で子供だった僕のアンテナに ひっかかって僕の中にJAZZのイメージを形成させた「ハードバップ」、つまり僕のJAZZの原点だ。 今日は、和製ホレスシルバーと言われる日本一の「ハードバッパー」が主役である。このライブは前評判が凄かった。 実は昨年もBAGUで演奏しており2年連続の出演なのだが、その時その場に居合わせ人は一様に「凄いぞ!」「いいぞ!」 「まだ聴いてないの?ダメだよ」などと絶賛。なんか聴いてないのが「罪」のような気分になってきた。それだけに期待も膨らむ。

笑う悪代官 ジャッキーマクリーン「tippin' the scales」で1セット目スタート。まさに50年代の音、音、音、BAGUのピアノでこの手の音を聴いたのは、 8月のジュニアマンス以来か。もう無条件に好きな音。一気に演奏にのめりこんでいった。そして素晴らしいスイング感の 向こうに、飛び切りの「笑顔」があった。これは吉岡さんのトレードマーク。前回のBAGUライブにも参加しているみっちゃんに 「あんなに楽しそうにピアノを弾く人を他に知らない」と聞いていたので、それをまじかに見て妙に納得してしまった。 「僕だって知らない!」。「willow weep for me」でも笑顔は絶えない。笑顔だけではなく曲にあわせて様々な表情が浮かんでは 消えてゆく。この曲では北川さんが、壮絶なソロを披露してくれた。素晴らしい。吉岡さんのスイングが北川さんのポテンシャルを 100%引き出している。いや余分に20%くらい引きずり出していたかもしれない。 マッコイタイナーの曲だといって紹介されたのは「sun set」。やはり様々な表情が演奏と一体となって見ていて ホントに楽しくなってくる。まさに顔のインプロビゼーションだ。「sidewinder」ではマスターもソロをとったがこれまた凄かった。 吉岡さんの笑顔に呼応するように飛び切りの笑顔も見える。 マスターにも「悪代官」と呼ばれる飛び切りの「笑い」(持ちネタ?)があるが、さすがに演奏中はこの「笑い」は封印されている。 確かにマスターの笑いは打ち上げ向きだ。大興奮、大笑いのうちに1セット目も終了。クロージングの「小舟」までしっかり楽しませて頂いた。

北川さん120% 早速CDを購入して、サインと握手とスマイルとギャグを1つづつ頂いた。すべて僕の宝となる。 アナログ版が1枚だけ売られていたがこれはみっちゃんがすかさず購入。 2セット目はモンクの有名なブルース「straight no chacer」で幕開け。1セット目よりも良くなっているような気がした。 「the more i see you」。僕はこの夏「岐阜のおっちゃん」から貰ったあるMDが気に入りかなり聴き込んでいた。 広瀬麻美というボーカリストのデビュー版である。失礼ながら当時はバックのピアニストが吉岡さんだったことは知らずに聴いていたわけだが、 そこにこの曲も入っていて、静かに演奏が始まったときは思わず「イェー」と心の中で叫んでしまった(声出して叫べよ!)。 この曲の北川さんのソロもほれぼれするほど良い。吉岡さんのソロには、様々な曲の名フレーズが顔を出す、それも絶妙のタイミングでだ。 そのたびにいたずらっ子のように北川さんやマスターを指さしてワハハッと笑う、「どお、こんなの入れちゃったよ!わかった?おもしろかった?」 といわんばかりに。またそれをちゃんと理解して、キメの部分をきっちり合わせて来るマスター、北川さんの力も凄い。 ソロで「i surrender dear」が始まって、ベースとドラムが絡み別の曲になっていくという面白い構成のパフォーマンスもあった。 そしていよいよ一押しのオリジナル曲「wired」を披露。これは凄い曲だ。とても日本人が書いたとは思えない、ハードバップ時代のおいしいエッセンスが ぎっしりつまって何ともうれしい曲だ。チャンスがあったら2管入れた演奏を聴いてみたい。次の曲は勉強不足で曲名不明だが、ポップス調の気持ちの いい曲だった。こんどマスターに聞いておこう。アンコールは「cherokee」、と思いきや・・・これまた色んな曲が「こんにちわ〜」って顔を出し、吉岡さんの 笑顔も冴え渡る。そして気が付くと何と「misty」になっており、そのまま終了。惜しい、もう終ってしまうのか、楽しい時間はなぜこんなに早く過ぎていくの だろう。BAGUで何度も味わったこの感覚をこの夜も味わうことになる。禁酒、禁煙中の吉岡さんであったが、お茶を飲みながらギャグ連発の楽しい打ち上げ となった。僕はこの時すでに、明日の「くれよん」に思いを馳せていた。

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