Black & White

中山4

中山さん とうとう中山さんが岐阜にやってきた。昨年の9月、スターアイズで初めて聴いたときに 打ち上げに参加して酔った勢いで「今度BAGUでもやって下さい!」なんてお願いしていた ことを思い出す。今日のメンバーはベースに津で「クッキン」というジャズクラブを営むベテランベーシスト 吉田さんを、そしてボーカルに黒ちゃんを迎えたスペシャルバンドである。 このユニットで前日までにスターアイズ、クッキンとこなしてきて、本日のバグが3DAYSの最終日となる。 もちろんこの日も、今年の中山グループのユニフォームである「白タキシード」でビシッとキメての登場だ。 中山さんは言う。「我々は来てくれたお客様に夢を売らなければいけない」と。 演奏、服装、雰囲気、いろんなものが一体となってバンドのカラーが決まり僕らの印象も決まる。 中山流の「夢」を具現化する道具としてこの華やかな純白の衣装が選ばれた。 この服装が似合うようになるには、それなりの年齢と経験が醸し出すある種の「貫禄」が必要だ。 今日のトリオはまさに貫禄十分、この衣装に袖を通すに足る3人である。 ボーカルの黒ちゃんは、中山バンドのレギュラーメンバーではないということで、残念ながら普段着で登場。 さて岐阜で聴く中山さんやいかに・・・。 中山さんの夢劇場はオリジナル曲「nice shot」でスタート。かっこいいハードバップナンバーでいい滑り出しをみせた。 お次の「swingin' blues」も中山さんお得意の曲である。ピアノの横のテーブルには水割りが置いてあり、軽くなめながら の演奏。これも中山スタイルだ。 やがて「白」で統一されたステージにひょっこりと「黒」が現れた。 黒ちゃんが登場し、まずは「just friends」を小粋に歌い上げる。 「some one to watch over me」では中山さんの歌伴がすばらしかった。演奏中の中山さんを正面から見る機会が なかなか無かったが、この日はピアノの配置上、中山さんが客席に顔を向けて演奏する形になっている。 いろんな表情を持っていて、顔を見ているだけでも楽しめた。 黒ちゃんはMCがお得意でバンドメンバーを面白おかしく紹介していく。 人懐っこい笑みを浮かべながら結構濃い岐阜弁で飄々と語るMCはなんかほんわかと暖かく「癒し」効果さえあるかもしれない。 僕は大好きだ。俊三さんのラッパで好きになったという「stella by starlight」。そして「come rain or come shine」とスタンダード ナンバーが続いた後、黒ちゃんの十八番、ブルースを熱唱して中山夢劇場第1部が終了した。

吉田さん 2セット目も中山さんのお得意ナンバーで始まる。ホレス・シルバーの「filthy mcnasty」、「doodlin'」だ。 譜面がかっちり決まっているこのナンバーはトリオのチームワークが問われるわけだが、何度も演奏しているマスターはもとより 吉田さんもさすがの演奏を聴かせてくれた。再び「白」いステージに「黒」登場。 「just in time」、「my one and only love」と歌い終えた後のMCで「ビールいっぺーちょー!」(ビール一杯くれ)と酒を注文。 MCで酒を注文するボーカリストも珍しい。でもそれもまた「黒ちゃん色」として観客にすんなり受け入れられている。 黒ちゃんのMCによると中山さんはかつて名駅近くでジャズクラブを経営していたとのこと。これは初耳だった。 ということは今日は3名ともジャズクラブオーナー経験者ということになる。地方ジャズクラブの経営は大変だ。 でも僕らファンのためにも存続させていってもらいたいと思う。いつかチャンスがあればクッキンにも顔を出したいなー。 「candy」を歌う黒ちゃんはすっかりブルースマンは影をひそめ見事な「クルーナー」になっている。 器用な人だ。中山さんの水割りはどの位進んでいるかがわからないが、黒ちゃんは2曲に1杯のペースでビールを開けていく。 聴いている僕らより早いペースだ。 エリントンの「things ain't what they used to be」からモンクの「blue monk」に移っていく珍しいメドレーは中山さんの 渋いブルースに黒ちゃんのねちっこい歌がよくマッチして面白い演奏に仕上がっていた。 「's wonderful」で2セット目を締めて、アンコールは「bye bye blackbird」。大いに盛り上がって夢劇場第2部がここに完結した。

猿渡さん さて演奏が終わり打ち上げとなる。夢劇場第3部だ。中山バンドが酒豪ぞろいだということには実は理由がある。 中山さんは「ライブが終ったあとに酒に付きあわずに帰ってしまう奴は、それ以降使わない」と言い切る。 昔のミュージシャン気質だ。よって自然と中山バンドのレギュラーには同じ気質を持った豪傑が揃っていくということになる。 僕の中でも、若いミュージシャンににらみをきかせるコワモテのジャズメンという印象がつきまとっていたが、実はとても紳士で 面白い「おじさん」である(こんなこと書いてると怒られそうだが)。初めてお会いした吉田さんも三重方面を取り仕切るジャズ親分で ごたぶんに漏れず豪快な酒豪である。このバンド、昨晩は深夜まで打ち上げをしてたらふく飲み、吉田さん宅に泊まったらしいのだが 朝10時には起きてすでに吉田さんの奥さんの手料理で酒盛りを開始している。そのまま岐阜に移動して、マスターはスクールの仕事へ、 そして中山さん、吉田さんの2名はまた柳ヶ瀬の居酒屋に繰り出している。そのままライブでも飲み、打ち上げになだれ込むという 信じられないような生活を送っている。とことんタフなおじ様方にもう脱帽だ。でもさすがに最終日ということで少々お疲れ気味。 珍しく「早め」(といっても1時をまわっていた)にホテルに引き上げていった。ホントにお疲れさまでした。 さて、お疲れおじ様たちをよそに絶好調なのが我らが黒ちゃん。 彼はマスターの一番弟子で、その昔はBAGUのバーテンを勤めていたこともある。 「お客さんの酒を飲むのがバーテンの仕事」といって笑う黒ちゃん、この日もすでにカウンターの中に入って久々のバーテン業を披露 し、カウンターを爆笑の渦に包みこんでいる。「芸」か単なる「酔っ払い」か・・・。微妙な線だが、僕も大いに笑わせて頂いた。 そんな時、マスターが「あっ、大事なこと忘れとった!」と叫んだ。実は今日は中山さんの誕生日だったのだ。 結局、打ち上げ中はバースデーの乾杯をすることは無かった。悔やんだマスターは、慌ててホテルにいる中山さんに電話をし、 中山さんを起こして僕らに言った。「みんなこの携帯に向かって、でっけー声でハッピーバースデー歌え!」。 深夜のBAGUで総勢10名あまりの大合唱、果たして中山さんに聞こえただろうか?今度会ったら聞いてみよう。

クルーナー黒ちゃん バーテン黒ちゃん
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