Influenza

猿渡3

カンペイさん 今日は僕がBAGUに通い始めてから初めて遭遇するある事件が起こった。 親方の泉さんが急遽風邪で欠席というのだ。このところミュージシャンの間で風邪が流行っているのだろうか。 先週の由川さんも点滴をうってライブに臨んでいた。ところが泉さんはそういうわけにはいかない。 なぜなら泉さんの風邪は「インフルエンザ」だからだ。BAGUで誰かが感染したら、それこそBAGUは学級閉鎖に 追い込まれてしまうだろう。そうなると僕は水曜に遊びに行く場所が無くなってしまうので非常に困る。 しかしこの時期にインフルエンザというのも珍しい。きっとインフルエンザ業界にもノルマがあって、感染促進部みたいな 部署で感染部長ウイルスの「今シーズンは最低10人には感染せよー!」という号令のもと敏腕ウイルスたちが血眼になって 街を浮遊しているに違いない。なかにはうだつの上がらないウイルスもいて、もうシーズンも終りかけているというのに 犬やネコにしか感染できなかったり、たまに人に感染してもなかなか高熱を出させることができなかったりして 「俺、やっぱりウイルスに向いてないのかなー」なんて場末の居酒屋で焼酎飲みながら落ち込んだりしているのもいるかもしれない・・・例えば・・・。 殆どのウイルスがノルマを達成して、次のシーズンにむけて南の島かどこかでバカンスを楽しんでいるこの時期、彼は一人名古屋の街 をさまよっていた。人が油断しているこの時期は感染成績を上げる最後のチャンスである。前からギターをかかえた人間が歩いてきた。 どうやらミュージシャンのようだ。ミュージシャンは見かけによらずタフだからアタックは避けた方がよいと先輩に教わっていたが、 その人間はどうもちょっと弱っているようである。試しに鼻の穴から体内に入っていったら丁度のどちんこのところに 「今年本厄」と書いてあった。しめた!タフなミュージシャンでも「本厄」ならなんとかいけそうだ! 彼はさっそく感染マニュアルを広げて仕事に取り掛かり、見事10人目の感染に成功。めでたくノルマ達成とあいなった。 泉さんの欠席の裏にはこんなドラマが隠されていたのだ。

飯沼さん というわけで本日は「泉隆カルテット−(マイナス)泉隆」というメンバーとなった。 さらにマスターのスクールからの帰りが遅れており、1曲目の「alone together」はカンペイさんと飯沼さんのデュオで始まった。 これはこれで面白い。マスターは2曲目「one note samba」から参加。ジョビンの有名なボサノバをしっかりジャズでやってくれた。 この季節は、サンバ、ボサノバものが非常に心地よい。カンペイさんはTシャツ一枚ですっかり夏のいでたちである。 お次の「blue in green」を終えて、カンペイさんが客席にリクエストを募った。マイルスの有名なモード曲にちょっと静かになった客席から 「A列車やってー!思い切り明るく!」という声が飛ぶ。すぐさま飛び切り明るい「A列車」が発車して、そのまま1セット目が終了。 最後のメンバー紹介がふるっていた。カンペイさんが「じゃあメンバー紹介をします。ドラムス!○○○○」。ハハハッ、 紹介してもしょうがない。客席は常連ばかりである。カンペイさんは「今更名前なんて紹介するのもしらじらしい。名前はそちらで勝手に叫んで」と言っているのだ。 続いて「オンベース!○○○」。客席はどっと湧いた。更に「そしてピアノは!○○○○でした」。 一切名前の出てこない珍しいメンバー紹介で1セット目を締めくくった。 まさに岐阜ジャズメンの岐阜ジャズメンによる岐阜ジャズメンのためのライブといったイイ雰囲気だ。 休憩時間にカンペイさんのネタ帖を見せてもらっていたら面白い曲が目にとまり、さっそくリクエストすると快く引き受けてくれた。 2セット目は「band call」でスタート。そして2曲目に僕のリクエスト曲をやってくれた。ランディー・ウエストンの「hi fly」である。 それも思い切りサンバで跳ね上がるような爽快な演奏でもう最高。ランディーウエストンは3拍子のワルツでやっているが、 ぼくは圧倒的にサンバでやっている演奏が好きである。予想通りの「hi-fly」でこのセットは早々にノックアウトをくらってしまった。 次の「danny boy」はぐっと落ち着いた演奏で、マスターのブラシも冴えわたる。心が洗われるとはこういう演奏を聴いた時に使う言葉であろう。 ジャズメンも客席も全員地元の人間で進行したライブもついに最後の曲となった。カンペイさんお気に入りの「god bless th child」が ラストに選ばれた。相変わらずのブルージーなピアノに飯沼さんのアルコが絡んでどんどん盛り上がっていく。そして絶頂に達した時、 思わず「smoke on the water」が飛び出した。Yeh!カンペイさんの粋なサービスだ。バックの飯沼さん、マスターも思わずニッコリ。 楽しいライブが終了し、CCさんグループとカンペイさんは、みんなで近所のカラオケ屋に繰り出していった。 僕と飯沼さんは、マスターの「ジャズ業界生き字引話」を楽しく拝聴させて頂くことになりあっという間に時間が過ぎていく。 さて次回の泉さんはいつだろうか。休養十分でまたあの渋いギターを聴かせて下さい。お大事に。

カンペイさんの席 マスター
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