This is Takashi!!

大井貴司

大井4+メグ ヴィブラフォンという楽器に抱くイメージは僕の場合、「大都会」「夜」「洋酒」とこうなる。 なかなか聴く機会のない楽器であるが過去に2度生ヴァイブを経験している。1度目はゲイリー・バートン。この時は「新宿」「夜」「ヘイグ」という組み合わせであったが 会場が多目的ホールだったため雰囲気はいまひとつ。そして2度目、「ブルーノート東京」「夜」「アーリータイムス」 という絶好の状況で聴いたのはあのミルト・ジャクソンだった。今日は通算3度目の生ヴァイブ。 「柳ヶ瀬」「夜」「しそ焼酎」、今の僕にとって申し分のないシチュエーションで聴くのは本邦ヴァイブ界の最高峰、大井貴司さんである。 BAGUの扉を開けた瞬間に1セット目が始まり、「afternoon in paris」を背中で聴きながらカウンター奥の指定席へ向かった。 6年ぶりのヴァイブの響きが背中にしみる。 大井さんとの共演も多く親交も深かったと思われるジョンルイスのこの曲は、軽やかで至極澄みきっていた。本日「ジョンルイス役」を勤めるのは 言わずと知れた名古屋の若手ナンバーワン後藤さんである。お次もルイスの曲を演奏。 そういえば、MJQもとうとうカルテットごと天に召されてしまった。 でも昨年ルイスが他界した瞬間にMJQは天国で再結成されたに違いない。先に行っていた3名が暖かくルイスを迎えたことだろう。

パーシー・ヒース  「ヘイ!ジョン遅かったじゃないか。また一緒にやろうぜ」
コニー・ケイ    「俺なんか8年も待ちぼうけだぜ!」
ミルト・ジャクソン 「下界の様子はどうだい?みんな俺のヴァイブが聴けなくて寂しがっていないかい?」
ジョン・ルイス   「ミルト、心配無用だぜ。みんな寂しがってなんかいないさ、下にはタカシがいるからね」

なーんて言ってるかも・・・。さて3曲目は「remember」、これは大井さんのオリジナルである。 谷口さんの泣きのアルコが絶品だった。さすが大井さんの懐刀といわれる人である。大井さんもこの曲では、天上のカルテットを想い出したのか、しっとりとした落ち着いた演奏であった。 次の曲はマスターをフューチャーした「st.thomas」で、ちょっとしんみりした店内のテンションはまたグングン回転数をあげ一気に レッドゾーンまで突入し、大井さんも踊るようにヴァイブを叩く。そんななか、いよいよメグさん登場。 ファーストアルバム「this is Megu!」の再現である。大井さん、谷口さんはこのライブアルバムに参加しているのだ。 「you're the sunshine of my life」「can't help falling love with you」「in a sentimental mood」と歌い上げていき、 1セット目最後は十八番中の十八番、そう「's wonderful」で締めくくった。

谷口雅彦 さて、2セット目はオリジナル曲2曲でスタート。大井さんは優秀なコンポーザーでもあるのだ。まだ世に出ていないニューアルバムの 中の収録曲を惜し気もなく披露してくれた。そしてここからブルージーかつファンキーな大井さんが存分に楽しめることになる。 1セット目がジョンルイスへのオマージュだとすると、このセットはミルトジャクソンへのそれだ。 シルバーの「sister sadie」はファンキーの極致。小柄な大井さんが体を目一杯使って躍動感あふれる演奏を繰広げる。 続いてお客様からの熱いリクエストに答えて「summertime」をやってくれた。どれも、まるでヴァイブのために書かれた曲じゃないだろうか と思わせるほどで、その表現力はさすが世界の「OHI」である。さてMCで「みなさん、この店の名前BAGUの由来を知ってますか?」 と客席に問いかける。この瞬間、次の曲を察知した僕は胸のなかでパンパンに膨れ上がっていく「期待」をグッと押さえつけながら 静かにその曲の第一音を待った。「bag's groove」、6年前に聴いたミルト・ジャクソンの演奏が蘇ってきて一人で胸を熱くして楽しませて 頂いた。そしてメグさんがステージへ。ファンキーな流れをそのまま引き継いでまずは「mercy mercy mercy」から。 因みに今日のメグさんのMCはいたって「ノーマル」。CDにはMCが入っていないが、もし入っていたとしたら値段が倍になるか 、リリースと同時に発禁になるかどちらかであろう。CDのオープニングナンバー「taking a chance on love」、そしてCDには収録されて いないがメグさん御得意の曲「gee baby, aint i good to you」、更に最後はCD収録の「a night in Tunisia」を熱唱。 よくグルーヴする大井さんのヴァイブを得てメグさんの歌もいつもと一味違う「味」を出している。 さあ、さあ、さあ、アンコールは何だろう。ある大事な曲が残っていたことに迂闊にも気付かずにいた僕はまさに「してやられた」という 気持でその曲を耳にした瞬間椅子から転げ落ちそうになった(これ、ちょっと大袈裟すぎ)。「django」である。 おいしいところを一番最後に持ってきたわけだ。感涙ものの演奏で大井貴司の世界は幕を閉じた。忘れ物をひとつ残して・・・・。 今日は、常連の「みっちゃん」の3?回目の誕生日で2セット目のどこかで「happy birthday」が歌われるはずであったが、 結局ライブは終了してしまったのだ。しかし終ってしまったものは仕方ないし、彼はそんなこと根に持つタイプではなく体育会系のサッパリ した男である。カウンターでメグさんからプレゼントを受け取り感激しきり。うーん、いいなー。 スペシャルライブと誕生日が重なるなんて運のいい男だ。因みに僕の誕生日はBAGUの定休日であった。残念! さて、僕はこの次、いつどこで生ヴァイブ体験をすることになるのだろう。次もBAGUで大井さんのような気がしてならないのだが・・・。

大井さん&マスター メンバー記念撮影
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