Wonderful Tonight!

岩見夫妻

北川さん 夜には3種類あるのをご存知か。イイ夜(wonderful)、ひどい夜(terrible)、どーでもいい夜(neutral)の3つ。 どーでもいい夜が圧倒的に多い僕であるが今晩は間違いなくイイ夜であった。しかもとびきりのイイ夜。 岩見さんは半年前にBAGUに遊びにきて飛び入りで1曲やってくれた時にすっかりほれ込んでしまったギタリスト。 その時「来年4月にツアーで岐阜に来ます」という話を聞いたが、随分先の話でいまいち実感がなかった。 それが、あれよあれよという間に4月がやってきて今岩見さんがステージに立っている。こうやってBAGUの月日は流れてゆくのだ。 1曲目の「on a clear day」で心地よいスィング感が一気に店内に溢れた。オープニングはいつもわくわくさせられる。 「ゼロ」からどんな風に立ち上がるのか・・・そういう意味では今日のテイクオフは大成功で、これからの素晴らしいフライト を十二分に予感させてくれるものであった。 中部近畿ツアー計11daysの初日が今日のライブで「まだ全然疲れていませんので、全く問題ありません」という言葉も頼もしい。 「body and soul」は岩見さんのソロギターでしっとりと始まった。北川さんが絡み、マスターもブラシで参戦。 実に気持よさそうにギターを弾いておりトリオの呼吸もぴったりのご様子。 岩見さんは2年前に東京の丸善で北川さんとDUOライブを行なっている。 その時「こんな凄いベーシストがなぜ岐阜にいるの?」とビックリしたそうだ。 そんな縁があって昨年、ツアーの途中で岐阜に遊びに来てくれて、そこで今日のライブが決まったというわけ。 お次の「recard bossa nova」はこんなMCで紹介された。「ブラジル音楽って、地球の裏側の音楽なのに何故か日本人の気持に 通じる身近なサウンドに感じませんか?どこかでつながっているみたいな・・・」。この考えには大きく同感である。 僕もブラジル音楽にはある種の郷愁をいつも感じている一人だ。そしてこの演奏も確かにズンズンと「血」に訴えかけてくる。 ギターの特性を生かしたギターならではの曲を選んで演奏することを心がけているという岩見さん。次はもっともギターがはえる 「ブルース」を選曲。ケニーバレルの「all night long」である。文句なしにカッコイイ真っ黒なギターで、まさに言葉どおり 「ブルースはギターに限る」と思わせるに足るパフォーマンスだ。気がつくとマスターも「素手ソロ」で奮闘している。 北川さんのウォーキングベースも岩見さんをグイグイ引張っていく。夜通し続いてくれても誰からも文句はでないだろう。 さて「ギター1本でワンステージもたせるのは非常にきついんです」というMCと伴にステージに登場したのは岩見さんのベストパートナー であるヴォーカリストのYAYOIさん。まずはご挨拶代わりに「it's could happen to you」をボサタッチでサラリと歌う。 続いて岩見さんのもう一人のベストパートナー(?)である宝物のガットギター(まだローンが終っていないらしい)が登場。 曲は「how insensitive」、うーんいい音。こんな本格的なボサノバを聴いたのは久々である。マスター、北川さんも静かにサポート。 お次は一変してスタンダード「day by day」が北川さんのベースとのDUOで始まった。20年間のブランクを経て3年程前から 活動を再開したという「遅れてきた新人」YAYOIさん。練習の甲斐あり昔より数段巧くなっているという。 黙々とコードを刻むダンナ様のリズムの上で実に伸びやかに歌う。 1セット目ラストは「georgia on my mind」で締めた。

猿渡さん 今日はニュースタの面々が最前列に陣取っていた。それを知った岩見さんがビッグバンドの曲を選んでやってくれるという。 まずはベイシーの「this could be the start of something big」。1セット目同様とてもスィンギーな胸のすく演奏でスタートだ。 僕には確かに管の幻影が見えた。 コルトレーン&ハートマンを是非聴いて欲しいといって紹介された2曲目は勿論「my one and only love」である。 世のご婦人方は必ずとろけてしまうと言われるこの曲の決定版。殿方の僕もあやうくとろけそうになった記憶が・・・。 岩見さんは例によって渋いソロで「たったひとつの愛」の世界を作っていく。大人の音だ。 次ぎはマスターが大活躍するベイシーの「cute」。「バカスカ叩いてテクニックどうだー!というタイコは山ほどいるが、こういう風にピアニシモから フォルテシモまでアンサンブルを重視してバランスよく叩ける人は少ない」という最大の賛辞をもらってマスターが一言。 「どえれーやりにくなってまったなー」。それでもその賛辞に見合うだけのタイコをしっかり聴かせてくれるところはさすがプリンス! 激しい演奏のあとはちょっとクールダウンが必要。メリハリというやつである。再びガットギターを取り出して始まった曲に、思わず 唸ってしまった。「manha de carnaval」、そうルイス・ボンファの「カーニバルの朝」である。先程ブラジル音楽に郷愁を感じると書いたが この曲などその最たるものだ。いてもたってもいられずカメラを持って岩見さんの目の前へ。でも殆どシャッターは切っていない。 純粋に一番前で聴きたかっただけである。目の前で僕がとろけて床いっぱいにひろがっていくのが岩見さんに見えただろうか。 僕はこれを聴くために明日もライブに足を運ぶことになるだろう。さて再びYAYOIさんがステージへ。 世界はブラジルから30年代のアメリカへ。スタンダード「our love is here to stay」を小粋に歌い上げる。 そして再びブラジルに戻って、「a girl from Ipanema」を途中「so danco samba」を織り交ぜてサービス満点に演奏。 速いフレーズのソロが続いたが、岩見さんの音が乱れることはない。しかしホントにこの二人の息はぴったりで、聴いている僕らも 安心できる。お次は「come rain or come shine」をスローテンポでブルージーに演奏、更に日本人に人気のスタンダード 「lover come back to me」をやって2セット目終了。今日のライブは曲数も時間もいつもより3割増しくらいのお得なライブとなった。 時間的に無理かなと思いつつも店内はわれんばかりのアンコールの拍手。最後にとびきりカッコイイ「root66」が飛び出した。 打ち上げで岩見さんは高価なガットギター片手に演歌、ポップス、歌謡曲、ビートルズなんでもOKの「柳ヶ瀬最強の流し」に変身。 歌あり、コーラス教室あり、和歌山弁講座あり、カラオケ大会あり、ママの踊りあり(?)で夢のような一夜を過ごさせていただいた。 明日の煉瓦亭、あさってのスターアイズも「とろけに」行こう。 さて朝には2種類あることをご存知か?「すっきりさわやなか朝」と「二日酔いでどろどろの朝」の二つである。 なにやらゆらゆら揺れている天井を眺めながら既に数時間後に迫った「明日の朝」が前者であることを祈りつつ床についた。

トリオ ガットギター ファンと記念撮影
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