プロジェクト X 〜 挑戦者たち 〜

プロジェクトX

長瀬くん NHKの人気番組のタイトルを冠した今日のバンドは、BAGUのオーナー猿渡泰幸氏のこんな言葉に端を 発したひとつの重要なプロジェクトである。

「バンドリーダーとしてレギュラーライブを1本任せる。人選は自由に、集客もしっかり頼むぞ」

この任務が、岐阜ジャズメンを統括する立場にある猿渡氏の「若手ジャズメンに積極的に活動の場を与え 力をつけてもらう」という表の目的の裏に「このところ元気の無い柳ヶ瀬を活性化せよ」という重要なメッセージが 秘められていたことを当時の水野はまだ気づいていなかった。準備期間は1ヶ月、岐阜のジャズの明日を担う若手ジャズメンた ちが水野の頭をよぎる・・・。フーッ、プロジェクトX調は疲れるので元に戻そう。

水野さんは岐阜大学ビッグバンド「ニュースターズ」出身の女性ドラマー。かつてはニュースタのコンボユニット「新星楽団」 のドラマーでもあった(現ドラマーはスミくん)。もちろんマスターの愛弟子であり、トラ(代役)やボーヤ(付き人)も務める。 また、大垣のジャズサークル「インプロヴァイズ」のメンバーとして数々のセッションにも参加。 BAGUでも「水野行け!」というマスターの鶴の一声で頻繁に「飛び入り」してキャリアを重ねている。 スターアイズなど、名古屋のクラブでの演奏経験もあり、多方面に渡る積極的な活動のおかげか、地元ジャズメンとはツーカーの仲で、評判も良好。 まさに岐阜の明日を担うドラマーのひとりである。そんな彼女が選んだジャズメンの顔ぶれからは「次は俺たちの時代だ!」という 力強いメッセージが伝わってくる(ちょっと大げさかな?)。岐阜ではお馴染みの精鋭たちに混じって、BAGU初演のミュージシャンが1名いた。 トランペッターの長瀬良司さん。辻田くんとの2管となり、これも見ものである。今日は「集客」という面でも凄かった。 ニュースタ、リーベをはじめ、本業である教師仲間の姿も見える。まさに「水野人脈」大集合。店内は熱気でむせかえっていた。 1曲目はオープニングにふさわしく、精悍なアンサンブルでスウィングするハードバップナンバー、ティナ・ブルックスの「miss hazel」 で景気よくスタート。 そして長瀬さんのフレディーばりの素晴らしいソロに会場がしばし呆然。マスターもカウンターで賞賛の拍手を送る。 多治見からわざわざやってきてくれた長瀬さん、東濃方面にも素晴らしいジャズメンがひしめいている。 今日は僕の好きなアンサンブルが存分に楽しめそうだ。そんなことを考えていたら早速ブラウン−ローチの「jordu」が・・・。 「貴公子」辻田くんが、今日も老成した渋いソロで酔わせてくれた。彼はまだ大学院生だが、就職しても岐阜に拠点を置いてこのままジャズを続けていて 欲しいと願う人材の一人である。水野さんの気持ちの良いボサノバドラムにのって情感たっぷりのラッパで演奏された「home at last」。 素晴らしい。今日は、若手のお目付け役として、超ベテラン「カンペイさん」がピアノを担当している。 今日は特にこの人がみんなのイイところを存分に引き出しているように思えた。絶妙のサポート体制のもと若手がのびのびと演奏できている。 お次は中根くんをフーチャーしてレイ・ブラウンバージョンの「summertime」。 中根くん、辻田くんのアンサンブルは、ボサノバとは一変して濃ーいジャズに仕上がっている。無表情で黙々と弦を弾く中根くん、 そんな演奏スタイルも師匠(北川さん)譲り(?)。さて、次の曲は俗に「ねらった」というやつである。 貴公子のテナーをフューチャーしてかなり早めの「christimas song」。そう、魅力的なジャズのスタンダードナンバーなのだから 季節に縛りつけてしまうにはあまりに勿体ない。真冬の「summertime」、春の「autumn leaves」、秋の「joy spring」、 真夏の「let it snow」などなど、どんどんやってもらいたい。1セット目ラストは再び長瀬さんのペットをフューチャーして「so what」。 水野親方の初セットがひとまず終了。叩く姿はいたってクール。当然といえば当然だが、ドラミングはマスターのそれをしっかり踏襲している。

辻田くん 「stolen moments」が突然始まった。2セット目のスタートだ。今日はあくまでアンサンブル中心の組み立てのようでうれしい。 2曲目は「parakeet dance」、これは水野さんが可愛がっていたインコの1周忌に作ったというオリジナル曲である。 彼女は作曲もするようだ。驚いたことにこれがかなりつぼを心得た秀逸なジャズナンバーに仕上がっている。 コンポーザー、アレンジャーとしてもかなりの才能の持ち主と見た。 お次の「all the things you are」はちょっとした段取り打ち合わせの後、カンペイさんのパーカー風イントロでスタート、 水野さんがバックでどんどん盛り上げていくなか、辻田くん、長瀬くんもバッパーぶりを存分に発揮する。 マスターもカウンターからかけ声と拍手で盛り上げていく。 せっかく2管いるのでといってやってくれたのは「song for my father」。 テレビコマーシャルにも使われたことがあるこの曲、耳にしたことのあるお客様が多かったのだろうか、 客席から手拍子、かけ声の飛び交うノリにノった演奏となった。 うーん、今日は幸せな日だ。 セット最後は、今日の準主役であるペットの長瀬さんを全面的にフーチャーして、シルバーのバラード「peace」でドラマチックに終了した。 いやはや、おもしろいライブだった。常連のCCさんも補助席に追いやられてしまうくらいの超満員の 店内ではしばらく「お疲れ様〜」という声がやまなかった。親方の挨拶回りも大変である。 さて、大成功に終わったこの「プロジェクトX」、 このバンドは更にパワーアップしてまたBAGUに帰ってきてくれるであろう。「水野やれ!」というマスターの一声で・・・。

中根くん カンペイさん
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