奇跡の集客術!

東3

久々の東さんは髭をたくわえてまるでジャン・レノのような風貌になっていた。 メガネをかけた勝新という線も捨てがたいが、僕はどちらかというと若き日のハネケンという自説を強く推したい(同じピアニストだし)。 ドラムスは水野昭美ちゃん。名古屋で別の仕事をこなしているマスターが戻ってくるまでのトラ(代役)である。 トリオ初挑戦ということなので、こちらも見所聴き所! そして今日は何といっても不思議な「集客現象」がライブを盛り上げてくれた。

一曲一人
1.で景気良くスタートした今日のライブ。この時点でのお客さんは僕を含めカウンターに3名のみ。 曲の途中でフラリとやってきたのは、アイランドカフェのマスター平工さん。水曜日のご来店は久々である。 しばらくして次のブルースに曲が移ると、今度は東さんの生徒さんで、BAGUでも 5月に素敵な歌を聴かせてくれたチアキちゃんが現れた。 東さん最初は「一曲やるとお客様が1人ずつ増えてくなー」と笑っていたが、その後も1曲一人ペースは続き 「よーし、短い曲を沢山やったろか!」と少々興奮気味。 こうなってくるとみんな期待してしまうもので、プレーヤーも客席もついつい入り口に神経を集中させてしまう。 珍しいライブだ。 エンディングを思い切り引っ張ってなかなか着地しない3.は明らかに「お客さんよ入ってこい」という東さんの 強い願望の現われだ。 途中、とうとうお客さんが途絶えてしまった・・・と思いきや5.で2名様ご来店(笑)。 「つじつま合ったな!」と満足げな表情で、神がかり的な1セット目終了。

御大ご帰還
休憩時間に丁度マスターが戻ってきて初トリオ体験を終えた昭美ちゃんとバトンタッチ。 それにしても彼女のドラミングは微笑ましいほど猿渡泰幸風である。 師匠の「味」を至極正当に受け継ぐ地元期待の女性ドラマーだ。 「それって最高の褒め言葉ですよ!」と笑う昭美ちゃん、2セット目は店の一番奥で謙虚に 師匠のタイコに耳を傾ける。 猿渡さんの腱鞘炎の方は順調に快方に向かっているものの完治にはいたっておらず、 まだアイシング用の「氷袋」が手放せない状態だ。


first set (ds : Akimi Mizuno)

1.perdido
2.sam sack
3.feel like makin' love
4.annie laurie
5.i let a song go out of my heart
飯沼さん&東さん
飯沼さんフューチャー曲、最高!

ちあきちゃん
久々の師弟共演です!

second set (ds : Yasuyuki Sawatari)

1.i got a rythm
2.israel
3.when you wish upon a star (chiaki(vo))
4.dreaming of home and mother
5.cute

あの頃に聴いた唄
2セット目もCCさん、そしてギタリストのKOJIさん、テナーのタケダさんといった面々が 面白いように店に吸い込まれてくる。赤ちょうちんを下げたおでん屋の屋台は視覚にうったえて 客を誘い、炭火の上で焼かれる串の煙をもうもうとまき散らしている焼き鳥屋は嗅覚で客を とりこにする。そしてBAGUは柳ヶ瀬レンガ通りに甘いピアノの音を響かせ道行く人の聴覚に訴える。 特に今日はノスタルジックな趣向を凝らした美味しいピアノが次々とお客様を引っ張りこんだ。 「ノスタルジックな趣向」そう、僕らの感受性が最も研ぎ澄まされていた少年時代。 見るもの聴くものすべてを、何の邪念もなくストレートに受けとめ、吸収していたあの頃に深く心に刻まれた唄。 東さんはそんな唄をジャズにアレンジして披露してくれたのだ。1セット目の4.はスコットランド民謡で、 日本人なら誰でも知っているメロディー。遠い昔どこかで聴いた・・・。 東さんの詩情あふれるピアノと、飯沼さんの優しいアルコに包まれて皆の脳裏に百人百様の「あの頃」 がよぎったに違いない。

そんな曲がもうひとつ。2セット目の4.である。これはいわゆる「旅愁」というやつだ。 もちろん日本人なら誰でも知っている・・・・と思いきや東さんによるとある世代を境に急に知らない 人が出てくるというのだ。すかさずママが、

  「あっ、私やっぱ知らな〜い」・・・ってウソつけー!

「旅愁」を知らない人は、知ってる人に比べて「秋の味わい」が30%ほどダウンするという 研究結果がしかるべき学会で報告されている。これは人生にとってはかなりマイナスだ。 これは人間だけではない。マウスとて同様。旅愁を聴かせて育てたマウスは、聴かせないで育てた マウスより「大人の憂い」が20%ほど少ないという興味深い研究もなされている(ホントかよ!)。 どんな唄かというと、

  ♪更けゆく秋の夜 旅の空の わびしき思いに ひとり悩む 〜♪

さあ、この歌詞を見てピンとこなかった君! 今すぐCD屋さんの童謡コーナーへ走るべきだ。由紀さおり姉妹あたりが必ず歌っているはずである。 個人的にはBAGUに来てママに唄ってもらうという方法をお勧めしたい。深夜2時までやってます!

師弟共演
今日はチアキちゃんが遊びにきている。ということは歌ってくれるといことだ。 お得意の3.を師匠東さんのピアノをバックに綺麗に、そうあくまでキレイに歌い上げる。 華のあるチアキさん。ステージでライトを浴びた瞬間、いままでカウンターに座っていたお客様とは 思えないほど明るい光を放っていた。そしてチアキちゃんのお仲間ギタリストのKOJIさんも今日の ライブを楽しんでいたが、残念ながらギターは持参しておらず、期待の「ステージ汚し」は無かった。 そうこうしているうちにラストへ。いよっ!待ってました猿渡泰幸! 僕の大好きな曲。マスターのドラムが大きくフューチャーされるベイシーナンバーだ。 幸せな気分でライブは終了。後半は2曲に一人とちょっとペースダウンしたがそれでも店内は大賑わい。 不思議な力を存分に発揮した東トリオ。次は1曲2人も夢じゃない。 いや、もっともっと呼べるだろう。たとえば・・・

  1曲につき(BAGUの席数÷曲数)人 = ラストの曲で満員御礼

東さんのミラクル集客術を持ってすれば、こんな式が成り立つ日もそう遠くないはずだ。

猿渡さん
2セット目のため電車で帰ってきました
東さん
岐阜のジャンレノ?それとも勝新?


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