DEAR NEW HARD

白井さん&鈴木さん

DREAMS COME TRUE
非凡な才能がある時期偶然に出会い、ともに時代を切り開く。 エヴァンスとラファロ、リチャードロジャースとロレンツハート、はたまたジョンとポール、或いはやすしときよし(?)、 それこそ枚挙にいとまがない。 彼らが一緒になった時の爆発力はまさに「時代を変える力」を秘めており、事実そうなってきた。 その時代をともに生きた者は、いま一度2個の個体が核融合を起こし、 まばゆいばかりの光を放ってくれることを常に夢見ているはず。 しかし、その夢が叶うことは希である。歴史をひもとけば一目瞭然…えっ、歴史なんてクソ喰らえって? 確かにそうだ。事実、今晩ここBAGUで今まさにその「核融合」が起ころうとしている。
和製ビッグバンド花盛り
1970年代、日本では多くの素晴らしいプロ・ビッグバンドがお互いしのぎを削っていた。 そのひとつが「宮間利之とニューハード」。 白井淳夫さんは1973年に、鈴木孝二さんは1974年にこのバンドにアルト奏者として入団。 そしてニューハードは全盛期を迎えるのである。 因みに鈴木さんは#&♭で輝かしい実績を残した後のニューハード入りであった。 #&♭は67年に日本のバンドとしては初のニューポートジャズ祭出演を果たしているが、 その時のアルト奏者が鈴木さんである。そしてお二人が入団したニューハードは、 74年モントルージャズフェスティバル出演、75年ニューポートジャズフェスティバル出演、 そして78年には南米4カ国ツアー成功させるなど、まさに時代の最先端を行くビッグバンドだったのだ。 僕も、学生時代に初めてニューハードのレコード(タイトル不明)を聴いたとき、いきなり耳に飛び込んできた「giant steps」の 斬新でモダンなアレンジに心奪われたものである。
ニューハード再現
ニューハードが世界を股に掛けて活躍していた、そんな時代の「生き証人」が今嬉々としてBAGUのステージに立っている。 ニューハードを離れた後も、「いつかまた2アルトでやろうじゃないか」という夢をずっと持ち続けていたというお二人。 それが二十数年の歳月を経て実現したのが今日のスペシャルライブ。この日を誰よりも心待ちにしていたのは当の白井さんと鈴木さんなのだ。 ミュージシャンにとってもスペシャルなライブが楽しくない訳がない!


first set

1.if i should lose you(shirai-san only)
2.????? (two alto)
3.stella by starlight (suzuki-san only)
4.old folks (suzuki-san only)
5.whisper not (two alto)
6.broadway (two alto)
ダニー

北川さん

second set

1.this i dig of you (two alto)
2.all the things you are (two alto)
3.one choras medley
 〜everything happen to me (shirai-san)
 〜my one and only lobe (danny)
 〜body and soul (suzuki-san)
4.as long as i live (suzuki-san(cl))
5.predido (shirai-san(as) suzuki-san(cl))
6.blues (two alto)
7.there is no greater love (two alto)
8.confirmation (two alto) an encore

タイムマシンにお願い
お二人は心底この共演を楽しんでおり、その楽しさが我々にもビンビン伝わってくる。鈴木さんはその気持ちをこう表現していた。

  「1日でも一緒にやれれば十分なのに、3daysもできるなんて
                もう何日も前から楽しみで仕方ありませんでした」

お二人の気持ちは完全に20数年前へタイムスリップ。 そして気持ちだけではなく演奏も素晴らしく若々しいものだった。 バップからスウィングまで、2本のアルト或いはクラリネットが小躍りしているような熱いステージによって 想像でしか推し測ることのできないニューハードの全盛期をヴァーチャル体験できたような気分になり 胸の高ぶりを抑えられなかった。2アルト用に準備したという1−5.は、同楽器のアンサンブルの面白さを 存分に堪能できる1曲。そして1−6.もアルトバトルである。マクリーン&ジェンキンス、 はたまたフィルウッズ&ジーンクイルにも匹敵する熱いバトル! 本邦アルトの名コンビ「ATUO&KOUJI」をお忘れなく。

TDLでも聴けますよ
2−1.の綺麗なアンサンブルで、熱きステージ再開。2セット目はMCもそこそこにとにかく いろんな曲が次々に飛び出した。そして鈴木さんがいよいよクラリネットを手にする。 鈴木さんはクラの名手でもある。現在はシャープス&フラッツのアルト奏者であると同時に、 「外山喜雄&ディキシーセインツ」 のクラリネット奏者としても活躍中。このディキシーバンドは東京ディズニーランドのニューオリンズ広場でレギュラーで演奏しているので、 ひょっとしたら皆さん知らないうちに鈴木さんの演奏を耳にしているかもしれない。 2−4.、2−5.はすこぶる軽快なスウィング。ダニーのピアノがテディー・ウイルソンみたいで楽しい。 スウィング大好きな猿渡さんも大ノリ。客席のハンドクラップもスウィング感を盛上げる。
2alto × 3days = 6alto?
さて、最後を飾ったのは、やはりアルトプレーヤーとしては避けて通れないパーカーの代表的なバップ曲。 ディキシー、スイングから時代を経てビバップへ。まさにジャズの歴史そのものだ。 お二人の共演は、今日を皮切りに「スターアイズ」、そして白井さんの経営する福井の「白井ハウス」へと続いていく。 福井にはきっと白井ファンが大勢いて、また凄い盛り上がりを見せることだろう。お二人の演奏は本当に いろんな人に聴いてもらいたい。そしてこの楽しさ多くの人と共有したい。 今日は、そんな気持ちにされてくれるちょいといいライブだった。

鈴木さん 白井さん


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