雨音は・・・エバンスの香り

新谷くん 麻衣ちゃん
田中くん 猿渡さん

八事は陽が暮れてから雨となった。普段は学生で賑わうこの街も日曜日の晩ともなると静かなものだ。 山手通の坂道では人とすれ違うことも殆どなく、濡れた路面に張り付く枯葉が秋らしい気分にさせてくれる。 メリポピは、やもすると通り過ぎそうなくらいひっそりと佇んでいた。 今日のライブはもはや説明不要。BAGUで第一土曜にお酒のバックでジャズを奏でてくれる若手ハウストリオに 猿渡さんを加えたカルテット。それぞれ多忙な「本職」をもつこのトリオは、3人とも岐阜在住で現在は BAGU専属といってもよい。ちょうど3年前、彼らが学生の時にやはりメリポピで今日と同じメンツで ライブを行っている。それが実質の名古屋デビューとなるが、3年を経て更に実力をつけてきた彼らを再び 名古屋のジャズシーンに送り出したいという猿渡さんの親心が今晩の「再デビュー」を実現させた。

彼らの実力を客観的に最もわかり易く説明する方法がひとつある。それはとある全国規模のアマチュア ジャズコンテストでの成績だ。いつかこのHPのネタにしたいので詳述はしないが、彼らはそのコンテスト で見事グランプリを獲得している。さらにピアノの新谷くんは最優秀ソリスト賞をボーカルの麻衣ちゃんは 特別賞を受賞。賞金総取りの、まるでコンテスト荒らし状態だ(笑)。ところが彼らは「卒業記念」 くらいの軽い気持ちで申し込んだというから面白い。岐阜では猿渡さんや北川さんの指導のもと、知らず知らずのうちに 優秀なジャズメンが育っているということを証明した出来事だ。

表に降りしきる雨に歩調をあわせるかのように、リリカルなピアノの音が店内に降り注ぐ。 メリポピのかなり暗めの照明がいい雰囲気を醸し出していて、ステージにのめり込むのにさほど時間はかからなかった。 リーダーの猿渡さんは久々に饒舌なMCを披露。そういえば猿渡さんがリーダーのバンドを見るのも久々だ。 麻衣ちゃんが「グランドファザー」と紹介していたが、これは「おじいちゃん」ということではなく「偉大なパパ」という 意味だ(と思う)。地元のミュージシャンのことを常に気にかけ、演奏の機会を与え実践のなかで「ジャズ」を教える。 若いジャズメンからするとまさに先生でありパパさんでもある。

ベースの田中くんは北川さんの愛弟子。このところBAGUのレギュラーライブにも顔を見せることが多く、必ず飛び入りで 1、2曲披露してくれる。 明るい彼は、BAGUレギュラージャズメンの間でも人気もの。今日は猿渡さんと強力なリズムユニットを組む。 いつもの屈託のない笑顔は影をひそめキリッとしまった真剣な表情を譜面に向け、演奏に集中する。

対照的に、ほんのりと微笑を浮かべて演奏を存分に楽しむ新谷くん。 あくまで柔らかいタッチで、絵画を描くがごとく音を紡いでいく。文字通り絵になるピアノだ。 2セット目ではオリジナル曲も飛び出して、コンポーザーとしての一面も披露。 「about time」はエバンスの香りが鼻をくずぐる綺麗なワルツ。果てはエバンスか、ペトルチアーニか・・・。 目下、新谷ワールド構築中である。

このバンドのボーカリストで、新谷くんの奥方である麻衣ちゃんは、三槻直子さんのお弟子さん。 MCの雰囲気など所々に三槻さんの影響が見られる。今日はリクエスト「i've got you under my skin」 にも快く応えてくれた。ちょっとダイナ・ワシントンっぽい(?)「i've got you 〜」は、師匠のそれとは 一線を画しており、麻衣ちゃん色を模索中といった感じか・・・。自ら「半熟卵」と称する彼女は現在 完熟めざして奮闘中!


first set
1.beautiful love (trio)
2.body and soul (trio)
3.someday my prince will come (trio)
4.fly me to the moon
5.smile
6.just friends
7.imagine
新谷夫婦
ご夫婦で綿密な打ち合わせです
打ち合わせ
猿渡さんも交えて譜面をチェック
second set
1.stella by starlight (trio)
2.rockin' char (trio / original)
3.about time (trio / original)
4.autumn leaves
5.only troust your heart
6.cry me a river
7.i've got you under my skin
8.time after time (an encore)

ライブを締めたのは先のコンテストでグランプリを受賞した曲だった。この演奏は異例のアンコールにより実現。 大きな声援と拍手のなか、彼らの再デビューライブが終了した。 今晩は、岐阜から大井さんも駆けつけており、ミュージシャン、ボーヤのマサムラくんなどを交えてちょっとした打ち上げを開始。 メリポピで飲める唯一のビール「ハイネケン」で乾杯〜!土砂降りの雨をよそに店内では爽やかにライブの成功を祝った。 これを機に色んなクラブで・・・と行きたいところだが、いかんせん彼らは多忙。なかなか頻繁にというわけにはいかないだろう。 まあ、僕らはBAGUで月一回は聴けるのでそれほど「支障」はない(笑)。岐阜近辺にも、かなりの実力を持ちながら本職多忙につき なかなか演奏の機会が無いというミュージシャンがゴロゴロしている。そういう意味ではBAGUはそんなミュージシャンに遭遇できる 貴重な場所だ。今晩のトリオが再び「偉大なパパ」に手を引かれて名古屋にやってくる日は果たしていつか。 ひょっとしたら次回はパパの手を離れて3人だけでやってくるかもしれない・・・。

麻衣ちゃん
麻衣ちゃん、気持ちよさそう〜!
新谷くん&田中くん
集中する二人

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