BAGU TOPICS 2003年04月12日

BAGUスペシャリストは今・・・

BAGUのスペシャルライブで演奏してくれた数々のミュージシャンたち。「BAGUスペシャリスト」とは彼らに冠せられた称号 です。様々なジャズシーンで活躍されているスペシャリストの皆さんを街のジャズクラブで見かけることもしばしば・・・。 これはそんなジャズメンたちの「目撃談」です。

今日目撃したスペシャリスト : 岡安芳明さん(g)、北川弘幸さん(b)
目撃地点            : くれよん(津島)


It’s Only Ten Strings

岡安さん&北川さん
岡安芳明(g) 北川弘幸(b)
☆ ☆ ☆

インストゥルメンタル トークショー
ジャズは最低一人(ソロ)いればできる。たった一人のプレーヤーが、まるで私小説を書くが如くその内面をさらけ出していく。 一切ごまかしの効かない緊張感。それもジャズの醍醐味のひとつであろう。演奏者が二人以上になるともう一つ楽しみが加わる。 それが楽器同士の会話だ。俗にインタープレイと呼ばれるもの。お互いの引き出しの中身をちょっとずつ出しあって反応を見たり、 いきなりガチャーンとぶちまけて相手を煽ったり、楽しげに笑いあったり、ひざを突き合わせて真剣に語りあったり、時には客席に 向って話しかけてくれたりすることもある。今日は岡安さんと北川さんの指しの会話に立ち会うため春雨のなか津島へ向った。

お二人とも過去に何度も共演しており、お互いに「話が合う(プレイの相性がイイ)」と認めあう間柄。 今年の1月には北川さんが東京に呼ばれて、1週間ほどのツアーを行った。そして今回は岡安さんがこの地方へ。 お互いの引き出しの中身をよーく知っている二人がリラックスして奏でる絶品デュオ、これを聞き逃すわけにはいかない!

小粋な二人
いきなり渋いスタンダードで幕開け。古いミュージカルの挿入歌である。ミディアムテンポでキレのある演奏を展開。 この音を100人に聴かせたら100人とも「it's a jazz guitar!」答えるだろう。歌で聴くことの多いこの曲、 とてつもなくスィンギーに料理されている。まさに最高のオープニング!どうやらこのセット、どんな曲をどんな順番で やるかは決まっていないらしい。1曲終える度に岡安さんが北さんに耳打ちで演目を伝え、北川さんは万事了解といった面持ちで 譜面をめくる。因みに岡安さんは譜面は一切見ない、というか譜面自体置いていない。頭の中の膨大なレパートリー・データベース からその時の気分によってチョイスしているように映った。1−2.は色んな名曲が悪戯っぽく顔を出す何とも楽しい構成。 思わずニヤリ。小粋でスィング感溢れる演奏にもうメロメロである。
エアコン代わりにいかが
1−3.で店内はしっとりとした落ち着いたムードに包まれる。バラードもいいな〜。真夏の熱帯夜、寝付けずにいる僕の枕元で この二人が生でコレをやってくれたら、エアコン無しでスコンと安眠できるだろう。 そんなことを夢想しながら心地よいギターとベースを堪能。 1−4.も古い古い歌ものスタンダード。スィング時代から盛んに演奏されているので相当古い。 そしてこの曲、何故かギタリストに取り上げられることが多い曲でもある。 ジャズギターの開祖チャーリークリスチャンに始まり、ハーブエリス&ジョーパスのデュオなんかもある。 はたまたパットマルティノやアールクルー、ジョンピザレリなんてところも取り上げているから「ギタリスト好み」と言っても いいだろう。岡安さんのギター、北川さんのベースともに終始リラックスして、軽妙に弦を歌わせる癒しの極意を見せてくれた。
独り言ターイム
さて、ここで会話はいったんお休み。1−5.では岡安さんが、一人でまくしたてる(笑)。北川さんが殆ど入らない準ソロギター。 これがカッコイイのなんのって、もー痺れました。負けじと北さんもお得意の1−6.でお返しだ。 ワンコーラス、ソロでみっちりと北川節を見せ付けてくれた。ガンガンいくわけでなくて少々抑え気味のベースに逆に凄みがある。


first set

1.i've never been in love before
2.secret love
3.mood indigo
4.i'm confessin'
5.have you met miss jones ?
6.alone together
7.take the 'a' train
北さん
やっぱ北さん凄いわ、再認識!

岡安さん
swing!swing!swing!

second set

1.straight no chaser
2.body and soul
3.autumn leaves
4.bye bye blackbird
5.all the things you are
6.it could happen to you
7.things ain't what they use to be
8.how high the moon (an encore)

かぶりつき
くれよんにはステージ正面にテーブルが3つ並んでいる。いわゆる「砂かぶり席」。 萌紅さんに言わせると「ツバかぶり席」ということになる。今日は僕が1テーブル占拠しているだけで、残りは空いていたのだが、 2セット目、我慢できずにそこに移ってきた人がいた。そう、この春からお客様に昇格した元店員「ミッキーさん」である。 その瞬間2セット目スタート。2−1.はギターとベースのユニゾンでお馴染みのテーマを演奏。本日唯一のブルースだ。 何とも正統的なギターブルースで、ギタリストの人がいたらかなり勉強になったのではないだろうか。 2−1、2−2と人気のバラードが続く。惜しむらくは車だったために酒が飲めなかったこと。 でも酔っていたらこの2曲で感極まって泣いていたかもしれない(笑)。
北さん丸腰
途中で気づいたんだが、このセットは北川さんも譜面を置いていない。まったくの丸腰である。

  「二人の会話に邪魔な譜面はもう要らない」

ということか。2年前、北川さんがジュニアマンス(p)と共演した時も、譜面もなければ曲目も一切決まっていなかった。 ジュニアが弾くバースを聴いて即座に曲を把握して合わせる。北川さんはそんな超緊張状態を立派に乗り切って素晴らしい パフォーマンスを演じてくれたのだ。しかし今日は手の内がよくわかった相手、さらに日本語で話し合いができる状況(笑)。 「あれいこか?」「あいよっ!」って感じでセットが進んでゆく。

2−5.はかなりタイトなデュオとなる。まずは静かなボサタッチで探りあい。次第に盛り上がっていき、お互い火の出るような ソロを披露。最後はまたスローに戻りフィナーレ。いやー圧巻だったなー。アンコールは少々長考の末、このノリで締めてくれた。

thank you!ten strings
今日のくれよんのステージ、突き詰めれば「10本の弦」が張ってあっただけ。 岡安さんはそのうち6本の弦と、北川さんは残り4本の弦と対峙する。 このたった10本の弦が、至福の時間を提供してくれたのだ。ちょっと不思議な気はしませんか? そして僕らは誰でも心の中に「琴線」という弦を持っている。プレーヤーの演奏がこれに共鳴すると、とてつもなく 気持ちいい。「琴線に触れる」まさに今日はそんな演奏の連続だった。10本の弦に感謝!

10本の弦
今日はこの10本が主役です!
演目相談中
「次、何にしようか」(相談中)

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